【突撃取材】Hamee fun編集部が行く!トリニティ商品開発の裏話を担当者に直撃インタビュー

こんにちは、Hamee fun編集部です!
前回の記事ではトリニティさんのオフィスを紹介しましたが、今回は更に深いところまで掘り下げていきたいと思います。
今回は「Simplism」などのヒット商品シリーズをプロデュースしている、開発担当の山本洋平さんにお話をお伺いしました。


interiew (21) -本日はよろしくお願いします!早速ですが、山本さんの担当業務を教えてください。

山本氏: 開発全般ですね。主に商品製作の上での最終的な判断などを担当しています。
デザイン自体は社内で行っているものもありますが、外注でやっている部分もありますね。


simplism_logo http://simplism.jp/

-続いて、トリニティさんの代表商品のひとつである【Simplism】についていくつかお聞かせください。 まず、Simplismのブランドコンセプトはどのようなものでしょうか。

山本氏: 名前の通りで、シンプルなんだけどちょっとしたことを追加して差別化を図っていく、「シンプルに+α」がコンセプトですね。
機能も見た目もシンプルに、だけど高いものにもなり過ぎず、手の届きやすいところでありながらちょっとした要素を足そうと。


-コンセプトの軸にされた点は何ですか?

山本氏: 市場にあるものとまったく同じもの、は避けるようにしてますね。「売れているからやる」ではなく、「自分たちが欲しい」と思ったプロダクトをつくって提案していくスタイルを重視しています。
もちろん、お客様からの指摘や希望は真摯に受け止めていますが、ただそれは意見の1つとして受け止めており、すべてを組み込むのではなく、最終的には自分たちが本当に欲しいと思えるものをつくることを心がけています。


-Simplismのプロダクトはどのようにして作られているのでしょうか。

山本氏: 大体二月ぐらいから、1年間どのようなスケジュールで進めていくかの年間プランを決めています。外注のデザイナーとイメージを膨らませながら、プランを立てていきますね。
Simplismのケースは外注のデザイナーのアイデアと、トリニティが持っているアイデアをすり合わせてつくりだしています。
でも、二月の段階ではどういったデバイスがその年にリリースされるのの詳細が分からないため、売上を達成するためにはどのぐらいのプロダクト数が必要か概算を決めていきます。

また、シーズンごとのイメージも大事にしていますね。
その年の市場を見て、例えば昨年は「クラフト系」に焦点を当てたかったので、パッケージをクラフト調にし、それにあわせたモノづくりを進めていきました。


-Simplismのターゲットはどういった層をイメージされていますか?

山本氏: 30代から40代の男性をイメージしているのですが、実際に購入されているお客様も、そういった層が多い印象ですね。
オフィスで働いているビジネスマンの男性から支持されている、そしてそれが客層となって、実際に買っているお客様につながっていると考えています。


interiew (34)
山本氏: でも今年は、Simplismとは別のブランドも立ち上げたんです。
スマホグッズを購入するのは女性が多い。やはり、そこはターゲットにしていこうと。
なので、新たに「ajouter(アジュテ)」というブランドを立ち上げました。

と言うのも、女性にも使ってもらえる商品をつくろうと思って、ただSimplismのラインナップに女性向けのカラーを混ぜても駄目なんですね。
それはあくまで男性向けのSimplismというブランドの中では浮いてしまう。やっぱりちゃんとターゲットの方を向かないと響かない、と。
そこから女性向けの新ブランドの開発に力を入れて、デザイナーは女性をメインに、全部おまかせで開発を進めてもらいました。男性同士で“女性が求めているモノ”を議論しても、ずれたものが出来上がっちゃう。やはり、女性が使いたいと思うものは、女性がつくらないと。

ajouterは今年から始めたので、今後も強化していきたいと思っています。
これまでのSimplismとは違う層をターゲットにしていますし、課題も見えてきたので。


ajouter by Simplism(アジュテ/意味:プラスする)
“手に取りやすいバリュー感と使い勝手のよさ”というSimplismのコンセプトをベースにしつつ、女性らしい華やかさやトレンドを取り入れたレディースライン。
-商品開発の中で、苦労した点はありますか?

interiew (69)
山本氏: 一番開発に苦労した製品としては、ライトニングストラップですかね。完成までにおよそ3年かかりました。
これは商品化に至るまでの間、製作段階の時に金型を2回は捨てているんです。

元々はiPhone4の時代に、ドックコネクタに差し込んで使うネックストラップをやっていたんですね。
ただその当時は、「iPod用」として売っていたんです。音楽を聞くときに首からiPodをぶら下げて使う想定で。
実際に販売してみたら、すごくヒットしたんですね。ただ、これはiPod用のアクセサリーとしては、いい意味で売れ方がおかしいぞと。
そこでよくよく調べてみると、iPhoneのユーザーが使ってることが分かってきて。元々はiPodで使われる想定でしたけど、iPhoneでも使えますからね。
そこで「iPhoneユーザーに、コネクタに差し込んで使うネックストラップは需要がある」ということがわかりました。
その後、iPhone5の時にドックコネクタからライトニングに変わると聞いたので、「それは対応しないと駄目だ」と思って開発に着手したんです。
ドックコネクタのときは開発もスムーズだったし、他にこういった商品はないからやった方がいいだろうということで。
でも、やってみたら意外と大変で。


-「大変」と言うと?

interiew (72)
山本氏: 「こう動作したらこう動作するんじゃないか」、そうした設計のイメージはあったんです。
設計は専門の人にも依頼をして、動く部分は何グラムか、強度計算などもイメージがあったんですが、中々上手くいかなかった。
3Dプリンタでも試作品は作れるんですけど、試作品では上手くいくように見えても、ちゃんとしたモノで作らないと実際の所どうなるか分からない。
イメージ上や試作品では上手くいっていても、実際の素材でつくって試してみると上手くいかない。そうした積み重ねで、開発費も時間もすごく掛かってしまったんです。

interiew (73) -かなり大変だったんですね。色々課題もあったのでしょうか。

山本氏: 試作段階では、コネクタ部分に差し込むと、iPhone本体の方に負荷が掛かって内部を傷付けてしまうことがあったんです。
現在リリースされているものはそこをクリアして傷付かないような仕様になっているんですが、そういった負荷がかからないように工夫したり。
その他にもどれだけパーツを減らせるか考えたり、万が一ストラップのスイッチパーツが折れてしまった際にも「最終的にiPhoneが落下しないかどうか」など、課題が山積みでした。


-なるほど。素材にもこだわりがあるのでしょうか。

山本氏: 素材に使っている樹脂にも特殊なものを使っていて、ストラップの中には「ガラスファイバー」が入っているんです。
ただ、元々の設計だと、何回か付け外しをしていると、ファイバーの中の繊維が出てきて、コネクタを差し込む部分の動きが渋くなるんです。こういった点が、3Dプリンタなどの試作品ではわからない点ですよね。
その問題を解決するために、中国で1人でパンを食べながら考えたりして、ガラスファイバーの繊維同士が絡んで動きが鈍くなるのでは?という想定に至ったんです。
それで今は構造を変え、繊維が絡まないように改善しました。動きが鈍いものは、完成商品もありましたけど、全部捨てましたね。


-掛かった時間とコストは、想定外でしたか?

山本氏: 正直、開発期間は3年かかると思ってなかったです。
でも、何度も信じて「出来る」と思って続けたんですね。いろんな工場さんも関わっているし。
途中でもうちょっと楽に売れるものが作れるんじゃないかと思ったり、正直、何度か心が折れかけましたね。(笑)

interiew (74) -やはり、いろんな苦労があるんですね。
山本さんのイチオシするSimplismの商品はどれですか?


山本氏: やっぱりライトニングのストラップです。(笑)
本当いろいろ製品を製作する中で、過去最長で一番キツかったかもしれない。
でも、ケースがなくてもストラップが使えるのは便利ですしね。
この一連のシリーズでマイクロUSBのコネクタタイプのものも作ったんですけど、それも開発が大変でしたね。
ライトニングにしろ、マイクロUSBにしろ、コネクタの先端が小さいのが大変でした。
とにかくSimplismとしては、これが一番おすすめの商品ですね。

interiew (54)
-どうもありがとうございます。
では次に、【NuAns】についてお聞かせください。


20150217_02 https://nuans.jp/

-NuAnsはどういったブランドコンセプトなのでしょうか。

山本氏: 今までパソコンなどの電子デバイスって言うのは、デスクがあって、仕事で使うものというイメージだったと思うんです。
でもiPhoneが出てきてから、電子デバイス自体、普通の生活で、リビングなどでも使えるようなものが出てきた。
やっぱり、時代の流れが変わって来たと感じたんです。

「インテリア」という立ち位置はすごく意識していて、「リビングに置けるもの」と「デジタル機器」のどちらとしても使えるようなものを作りたかった。
自由が丘、雑貨店といったコンセプトを意識していたこともあり、そういう所にあったとしてもおかしくないものを作ろうと思いました。
そういった背景からも、30代から40代の方がメインターゲットになっていて、位置付けとしてはインテリア雑貨に近いイメージですね。

interiew (81) interiew (66) -NuAnsにおいて、形やカラーなど、こだわりの点はありますか?

山本氏: そもそもNuAnsというブランドは、”TENT”さんというデザイナーありきなんです。
元々はBlueloungeという別ブランドで商品を作ろうと話があがって、その時に2人がブランドの提案を持って来てくれたんです。
でもその時は色々あって商品化にはならなかったんですが、1年ぐらいしてから、前に2人から提案されたコンセプトを元にした新しい商品を作ろうという話になったんです。
NuAnsの開発には1年半かかっているけど、ほぼTENTさんが持って来た最初のデザイン画をもとに仕上げています。
なので、色や形も、TENTさんが指定したほぼそのままのものが商品化されていますね。商品に指定するカラーは単色を避け、白一色ではなく中間色を入れてみるなど、「無機物だけど有機物っぽく感じられる色合いにしよう」とか。
TENT(テント)
2011年に治田将之と青木亮作の2人によって結成され活動を開始したクリエイティブユニット。見て楽しく、使う程に愛着が湧くものづくりをテーマにテーブルウェア、家電、インテリア用品などのプロダクトデザインを中心にコンセプトからトータルなデザインを行っている。
-NuAnsから発売されたスマートフォン、【NuAns Neo】はグッドデザイン賞を取ったそうですね。おめでとうございます!

山本氏: ありがとうございます。その他にも、NuAns商品はレッド・ドット・デザイン賞※1、iFデザイン賞※2 を獲得しています。
NuAns NEOを含め、NuAnsシリーズはすべてTENTさんの監修で商品化を進めています。

※1.(red dot design award:ドイツ、エッセンのDesign Zentrum Nordrhein Westfalenが主催する国際的なプロダクトデザイン賞)
※2.(ドイツ・ハノーファーを拠点とする、デザイン振興のための国際的な組織インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)が1953年から主催し、毎年全世界の工業製品等を対象に優れたデザインを選定する賞)

Hamee fun補足情報

2015年5月、NuAnsブランドの商品発表会は代官山蔦谷書店で催されました。
この商品発表会を皮切りに、注目のブランドとしてNuAnsが多数のメディアを通して知られることになりました。

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-ズバリ、山本さんから見たNUANSのイチオシ商品はなんでしょうか?

interiew-2
山本氏: やっぱりバッテリーがすごいかなと。形状が非常に理に適っています。
当初、NuAnsでバッテリーを開発する時に、TENTの2人には「ケーブル部分は隠してほしい」と伝えていたんですが、 出来上がったデザインを見せてもらったら、ケーブルをタグみたいに敢えて見せるデザインを出して来た。
オシャレだし、ケーブルがこの長さ・形になることで、iPhoneをバッテリーに乗せて“重ねて使う”形状にした、そのスタイルがすごいと感じました。
もうこれ以外に良い形状はないのでは?と思えるほどシックリ来るデザインなのかなと感じています。

interiew (16)
山本氏: 余談ですが、NuAns NEOの木の形状も大変だったんです。
木を使った真っ直ぐな形状のものはスマホケースでも多くあるんですが、側面部分にまで木を曲げて使っているものってなかなかないんです。
なぜなら木はすぐに反ってしまうので、“曲がった形状”を維持することが難しいんです。
ウチでもサンプルでは上手くいくけど、実際に使ってみたら木の部分が歪んだり、形状が変わってしまって。
でもホント、木は皆が夢見る商品なんですよね。
素材に使っている樹脂を何度も変えたりして、試行錯誤を重ねた結果、無事この形状を作り上げることができました。
製作工場の人も苦労したと思いますが、情熱を持ってついてきてくれたので、そのおかげで出来上がったと感じてますね。
ホント少しでもラクしたいけど、こんなことばっかりなんですよ(笑)

interiew (14)
-製作秘話まで、どうもありがとうございます。
それでは最後に、それぞれのシリーズの今後の展開はどのようにお考えですか?


山本氏: Simplismはトリニティという会社の心臓なので、立ち位置をしっかりすることはもちろん、AppleとXperia製品をキャッチアップしていきつつ、ケースアクセサリを機種ごとに製作することを続けていく予定です。
NuAnsについては、今後もデスク周りの製品を作っていきたいと考えていますね。新製品の構想もあります。お楽しみに!


interiew (51) 熱い情熱を持った開発担当の山本さん。
妥協しない精神と突き詰める姿勢が、トリニティのこだわりとデザイン性を持った商品を生み続けているんだと感じました。

さて、次回はトリニティさんの開発担当者に聞いた「おすすめ商品ランキング」をご紹介します。お楽しみに!

▼トリニティ株式会社

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